
サイコロ次郎です。
さて、今回はG902ルートの再審査が発表された件について、今後の公認心理師試験が適正に実施され、受験生の努力が正しく反映されることを期待して解説をしていきたいと思います。
【対象:分野施設コード902で受験申込みされた方のうち、受験が認められなかった方】受験申込提出書類における実務経験証明書に係る提出書類の追加提出に関するご案内
上記のように、8月17日に、日本心理研修センターは、G902ルートで「受験資格無し」とされた方の再審査を発表しました。
この措置は、実務に携わってこられた方に受験の門戸が開かれるという意味では、本当に良かったと思います。
弁護士を立てて交渉をした方もいるようですし、もともと審査請求自体が公認心理師法に定められているわけですから、今回は第1回でもあり、柔軟な対応がされたことは一受験生として、本当に嬉しく、また既に実務で活躍されている方が受験され(そして合格されることが)、国民の心の健康の保持増進に寄与するものとして、心強いと感じています。
しかし、それはそれとして、日本心理研修センターは、公認心理師指定試験機関としてどうなのか、という問題は別に考えなければならないと感じます。
Twitterでの情報が本当ならば、日本心理研修センターは試験機関として猛省すべきである。
7月末に、受験資格審査結果の通知が届き、受験資格が認められず、受験できないとされた方の中には、日本心理研修センターに電話で連絡した方が多数います。
その時に窓口の方が何といったか、Twitter上の情報が正しければ
「審査の結果は覆らない」
と伝えたそうです。
日本心理研修センターが犯した過ち
日本心理研修センターは、試験機関としてあるまじき過ちを重ねています。
1.審査請求できることを通知書に記載していない。
私が、この受験資格審査問題発生と同時にアップした下記エントリーでお伝えしたように、受験資格審査の結果は試験機関の行う処分であり、公認心理師法に基づく審査請求が可能です。

にもかかわらず、私が得た情報によれば、審査結果通知には審査請求できる旨が記載されておらず、受験生に審査請求ができること、そしてその手続きはどのように行えばよいかを伝えていません。
2.窓口応対の過ち
あくまでTwitterで私が確認した限りですが、日本心理研修センターの電話窓口対応の際、「審査の結果は覆らない」と伝えられた方が多いようです。
「審査の結果が覆らない」
というのは、
・審査請求制度を窓口レベルで否定するものである。
・そもそも「審査の結果が覆る可能性がある」から今回の再審査アナウンスとなったはず。
少なくともこういった問題があり、この問題は小さいものではありません。
3.試験事務規程の内容・取扱いの問題
下記エントリーでお伝えしたように、私も、「ホームページの写しだけで良い」と言われた後に、「やはり開業届は必要」と言われた経緯があります。

つまり、
・そもそも日本心理研修センターが整備した試験事務規程は不十分ではないのか
・不十分ではないとしたら、日本心理研修センターは、試験事務規程のとおりに事務を執り行っていないのではないか
という疑念が生じます。
試験事務規程に関しては、公認心理師法に基づく公認心理師試験指定試験機関の申請の際に、完成した試験事務規程の添付が求められており、これは厚労省・文科省の指定責任が生じる事態です。
逆に厚労省・文科省が審査し、問題がないはずの試験事務規程があるのに、その試験事務規程どおりに試験事務を行っていないということであれば、日本心理研修センターは試験機関として相応しいとは言えません。
この場合は、公認心理師法第22条第4号に基づき、退場(取消)をして頂きたいと思うのは受験生として自然な思いではないでしょうか。
繰り返しになりますが、日本心理研修センターが指定申請に際して添付した試験事務規程が不十分なのであれば、なぜそのような試験事務規程で指定を行ったのかという厚労省・文科省の責任問題が生じます。
公認心理師試験指定試験機関は既得権益化していないか?
ところで、公認心理師法をざっと読んだところ、指定試験機関の指定有効期間については、記載されていませんでした。(読み落としていればご指摘下さい)
これ、既得権益化してませんかね?
本来ならば、期間を定めて指定するべきであり、その期間が満了する前には再度コンペ的なものを行うのが筋ではないでしょうか。
【参考】
公認心理師法第13条(試験事務規程)第十三条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この章において「試験事務規程」という。)を定め、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。公認心理師法第22条(指定の取消し等)
第二十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第十条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十条第三項各号の要件を満たさなくなったと認められるとき。
二 第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)、第十三条第三項又は第十八条の規定による命令に違反したとき。
三 第十二条、第十四条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。
四 第十三条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。
五 次条第一項の条件に違反したとき。