
サイコロ次郎です。
公認心理師の名称使用について、ちょっと気になったので問題提起してみます。
公認心理師とは
さて、改めて公認心理師とはいかなる者を指して言うのでしょうか。
法律上の定義について考えます。
公認心理師法第2条(定義)
この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
となっています。
つまり「公認心理師の名称を用いて、保健医療等の分野で心理学に関する専門的知識・技術をもって第1号から第4号までの行為を行うことを業とする者」です。
そんなことは、皆様もう十分ご存知ですね。
法人は公認心理師になれるのか。
では、株式会社、一般社団法人、特定非営利活動法人…こういった「法人」は「公認心理師」となる余地があるのでしょうか。
ありません。
はい。ないです。
だって、公認心理師試験も受験できないし、第2条各号の行為ができないからです。
つまり、法人種別を問わず「法人は公認心理師」になれないわけです。
では、今度は公認心理師法第44条をみていきましょう。
公認心理師法第44条(名称の使用制限)
公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
と規定されています。
文理解釈、つまり文字通り解釈すれば「法人は公認心理師にはなり得ない」ので、公認心理師である法人は存在しません。
法人であれば無制限に「公認心理師」という名称が使用できるという根拠はどこにあるのか?
ではたとえば、
「株式会社〇〇(都道府県名)公認心理師ネットワーク」
という法人があったとします。
現行法上、法人の商号中に「公認心理師」という名称を使用してよいと、どこで認められているんでしょうか?
株式会社は法人です。繰り返しますが、法人は公認心理師になれません。
なのに、なぜ、無資格である法人が、その名称中に「公認心理師」という名称を使用していいんですか?
「自然人」であって、公認心理師ではない者は「公認心理師」という名称を使用してはいけないのに、なぜ「法人」は「公認心理師」という名称を使用していいのでしょうか。
不思議ですね。
厚生労働省はどう考えているのでしょうか。
質問してみました。そうすると…
「言われてみればそうですね」
え…まさか今まで誰もこういった質問を厚労省にしていないの…?
だって、法人の商号変更登記って3万円の収入印紙が必要なんですよ…それ以前に、商号なんて一度決めたら変えたくないじゃないですか。
普通法的にセーフかどうか、確認しません?
ということで、確認の上改めて連絡して頂けるそうです。
結果はまたご報告したいと思います。
なお、どこかに根拠や例外規定があれば、私の勉強不足ですのでご指摘下さい。
追記:最も厳しく文理解釈すれば、この「公認心理師試験対策室」という名称についても、私は現在公認心理師ではないため「公認心理師ではないものが公認心理師という名称を使用している」ことになります。
なので、厚労省からの回答次第では、アウトになる可能性ももちろんあります。
何をバカなことを、と言われるかもしれませんが、それだけ法律の解釈には幅があるということなのです。
だからこそ、コンメンタールといって、法律の文言の解説本が出版されたり、法律の解釈が裁判上争われることがあるわけですね。
厚生労働省からの回答がありました。
たとえば「公認心理師養成講座」などの名称を使用することは、ただちに違法ではない。
ただし、社会通念上、「公認心理師がひとりもいない場合」に、公認心理師ネットワークなどの名称を使用するのは問題がないとは言えない。
とのことでした。
公認心理師がひとりもいないのに、名称を使用している社団法人、あるみたいですよ?